【備忘録】コート・ド・ニュイ特級畑10種テイスティング
エノテカ銀座ミレで行われたテイスティングイベントに参加しました。
ブルゴーニュの中でもシャンベルタンやロマネ・コンティが位置するコート・ド・ニュイ地区から、
全て2018年ヴィンテージのグランクリュが10種同時に飲めるとは貴重な機会です。
忘れないうちに個人的レビューを記録しておきます。
概要
会場:エノテカ銀座ミレ
料金:44,000円
内容:各30ml×10グラス
銘柄:
- 2018年 シャペル・シャンベルタン・グラン・クリュ/ポンソ 販売価格 70,400円(税込)
- 2018年 シャルム・シャンベルタン・グラン・クリュ/クロード・デュガ 販売価格 67,100円(税込)
- 2018年 クロ・サン・ドニ・グラン・クリュ・キュヴェ・デュ・ムリジエ/ローラン・ポンソ 販売価格 107,800円(税込)
- 2018年 クロ・ド・タール・グラン・クリュ/クロ・ド・タール 販売価格 88,000円(税込)
- 2018年 クロ・ド・ラ・ロシュ・グラン・クリュ/フランソワ・フュエ 販売価格 33,000円(税込)
- 2018年 ボンヌ・マール・グラン・クリュ/ルシアン・ル・モワンヌ 販売価格 63,800円(税込)
- 2018年 ミュジニー・グラン・クリュ・ヴィエイユ・ヴィーニュ/コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ 販売価格 143,000円(税込)
- 2018年 クロ・ヴージョ・グラン・クリュ/デュージェニー 販売価格 59,400円(税込)
- 2018年 エシェゾー・グラン・クリュ/エマニュエル・ルジェ 販売価格 242,000円(税込)
- 2018年 リシュブール・グラン・クリュ/ジャン・グリヴォ 販売価格 176,000円(税込)
見た目からは何番がどのワインか判別できません。色も微妙にしか違わず、粘度もまちまち。
どれかが極端に紫色で若いとか、オレンジ色になってきて熟成が進んでいるということもありません。
それぞれをテイスティングしていきますが、一気に10種類を比べることは困難です。
そこで、まず産地が近いものどうしを2、3グラスずつ比較していきます。
産地が近いものを比較
ジュヴレ・シャンベルタン村(1と2)を比較
※以降、わかりやすくするため村名には「村」とつけます。
1:シャペル・シャンベルタン
写真の色がわかりづらくてすみません。現場で見た色は淡いラズベリーレッド。縁が明るくなっていました。
ラズベリーや木の皮のような香り。血液っぽさ(テイスティング用語です、念のため)が印象的。少し噛みごたえがあり、力強さやミネラルを感じる。流れるようなタンニン。スミレ・バラの余韻が10秒以上続く。
2:シャルム・シャンベルタン
1よりは縁が明るく、赤みが少しだけ落ち着いている印象。木の皮やラズベリーの香り、バラのドライフラワーのニュアンスがある。ミネラルは1より強く感じ、果実味は控えめ。繊細な味わい、香りが上品でエレガント。
1と2の共通点としては、他の産地に比べて骨格が特徴的。血液の要素やミネラル感(平たく言えば苦味)、フレッシュな果実味。
ローストビーフのような食べ物が合いそうです。
モレ・サン・ドニ村(3、4、5)を比較
3:クロ・サン・ドニ
縁の端っこまで赤いラズベリーレッド。ラズベリーやレッドチェリーのフルーツ感が特徴。赤いバラの香りも。味わいはトップにラズベリーの甘みがあり、徐々に酸味のバランスへ移行する。力強さも備えており1や2よりはタンニンを感じる。余韻にトリュフや毛皮のような動物的な香りも見つけられた。
4:クロ・ド・タール
3より深い色。少しだけ紫寄りのラズベリーレッド。ラズベリーやレッドチェリー、ブラックチェリーに少し近い成熟感のある香り。スミレや森の香り、トリュフ香、石灰(苦味)、リコリスなども。3〜5の中で一番味が濃厚な感じ。味わいにも熟したチェリーやハーブがあり、余韻が長い。
5:クロ・ド・ラ・ロシュ
縁が明るい。3〜5の中では一番落ち着いた色。ラズベリーや赤いバラのドライフラワー、トリュフ、毛皮などの香り。味わいはスミレ、生肉、リコリスなど。骨格がありつつタンニンはさらっとしている。トリュフや毛皮の香りが3〜5の中では強めで印象的。
3〜5の共通点としては、地質に由来する石灰っぽさ? なのか、味わいにコクのような苦味を感じる。
1や2と比べてタンニンが少し多く舌に感じられる。
合わせる料理は、牛の煮込みやジビエ料理などがよさそうです。
シャンボール・ミュジニー村(6と7)およびヴージョ村(8)を比較
6:ボンヌ・マール
(6〜10は、1〜5と比べると総じて「豊潤」という印象でした。産地が北から南の順に並べられているためでしょうか)
縁がわずかに明るく、淡いラズベリーレッド。第一印象はチェリーリキュールの香り。穏やかな印象。かすかに赤バラのドライフラワーも。フレーバーは若々しい印象で、レッドチェリーのようなフルーツ感が豊かでジューシー。ふくよかながら、途中から木の皮や毛皮のようなニュアンスが出てきて男性的な力強さも感じます。
供出から1.5時間経つと酸味が強くなってきました。
7:ミュジニー
濃いめのラズベリーレッド。紫っぽい色で、若々しい印象です。粘度も強く、パワフル(熟成の可能性があり)そうです。嫌気的な香りを乗り越えた先に、甘い香りの赤バラ、バニラ、レッドチェリー、リコリスのようなさまざまな香りがします。味わいも香りと大体一致していて豊満かつミネラリー。お店のコメントシートにある「圧倒的なミネラルと果実の凝縮感」、まさにこの一言が全てを表している感じです。濃厚で華やか、スケールの大きいワイン。
8:クロ・ヴージョ
6と比べると少しピンク色に見えます。供出されて間もない時の香りは穏やか。やや嫌気的な感じを乗り越えると、味わいはミネラルやさわやかなスミレが印象的。チェリー、ハーブ、少し血液のニュアンス。骨格があり、洗練された上品な感じです。
6〜8の共通点は、レッドチェリーの香りが熟していて豊潤な印象を与えること。
牛の煮込みやチキングリルなどの食事が合いそうです。
フラジェ・エシェゾー村(9)とヴォーヌ・ロマネ村(10)を比較
9:エシェゾー
紫がかったラズベリーレッド。若々しい。粘度は強い。赤バラやチェリー、チェリーリキュールの香り。フルーツ感が強めで、わずかにハーブやスミレの香りも。味わうと、噛みごたえがあって濃縮感に圧倒される。でもフレーバーの最後はピュアで清々しい。余韻はスミレなどの花の香りが長い。
10:リシュブール
淡めのラズベリーレッド、色は暗め。縁はわずかに明るい。紅茶と砂糖とミルクの香り。赤バラ、チェリーリキュールの香りが香水のように広がる。古木のためか、味わいの奥の方に枯れた枝のようなニュアンスを感じ、複雑さがある。フレーバーは香りと似ていて、味わいの中間から余韻までの香りの印象は赤バラのドライフラワーで一貫していた。全体的にフィネスを感じる上品さがあり、余韻は少量の香りが長い時間をかけてフェードアウトしていく感じ。
9と10の共通点は、洗練されて粗雑さがないこと。チェリーの香りがリキュールに変化していること。
食事と合わせるよりも、ワインそのものを楽しみたいです。
味わいが似ているものの比較
産地が近いものどうしを比較したので、今度は味わいが似ているものの比較をしてみます。
1のシャペル・シャンベルタンと6のボンヌ・マール
力強さがある点で似ています。
異なる点は、6の方が味が濃厚、反対にいうと1の方が北の産地らしく骨格を感じます(細マッチョ寄りとでも言えばいいのでしょうか)。
8のクロ・ヴージョも6に似ていますが、8の方が6よりも少し軽やかな味わいで、1よりもベリーが熟した感じで細身な骨格(血液よりもミネラルっぽさがある)だと思いました。
2のシャルム・シャンベルタンと8のクロ・ヴージョ
木の皮のようなニュアンスと、エレガントなミネラル感が共通しています。
8の方が2よりも濃厚な味わいです。
4のクロ・ド・タールもミネラル感があるので8に似ていますが、やはり8の方が濃厚です。この味の違いは、産地の南北による果実の成熟度の差でしょうか。好みによって選ぶものが変わってきそうです。
今回は本当に貴重な経験でした!
それぞれのワインを個人的にボトルで購入する機会はなかなかなく、試飲会でグランクリュに多種類出会えるということもそうそうありません。
同じ収穫年の偉大なワインを同時に比較でき、一度は口にしてみたいと思っていたエシェゾーやリシュブールも経験できて、とても勉強になりました。
私個人としては、赤ワインはブルゴーニュファン、ピノ・ノワールファンで、特にジュヴレ・シャンベルタン村やモレ・サン・ドニ村が好きだなと思っているのですが、今回の10種の中で特に好きだと思ったのは9エシェゾー、10リシュブール、7ミュジニー、1シャペル・シャンベルタン、6ボンヌ・マール、3クロ・サン・ドニあたりです(どれもすごくおいしかったですよ、念のため)。
あれ、ボトル価格10万円超えのものが全部入っていますね……。そりゃあおいしいですよね、っていう話です。
価格が高いものは総合的なバランスがよく、多くの人に愛されているのだということが改めてわかったような気がします。
好みに関係なく誰もが「おいしい!」と認めるものは需要が増え、稀少性が上がり、価格が高騰するのですね。。^^;
次にグランクリュと出会えるのはいつになるのかわかりませんが、またこうした機会があればぜひ行ってみたいと思います。
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